プロカメラマンに必要な機材1




Youtubeで「プロカメラマンになる為の機材」みたいな動画を見た。どの動画かは書かないが、そこに書いてあるコメントに見当違いの事も書いてある。

紹介しているカメラは、Canonの5D markⅣ、レンズは大三元の広角と標準。

悪くない。むしろちゃんとしている、正しい。だけどコメントには、

  • 良い機材ではなくて腕ではないか
  • 撮る被写体によって違うから、その機材じゃ足りない
  • うちの近くのカメラ店では。。。。

私から見ると全然見当違いである。その理由を「プロカメラマン」になりたい方に対して「プロクライアント」である私が解説して見たいと思う。

写真作家かカメラマンか

まずはここに大きな違いがある。言い方云々はおいといて、私の周りでは作品の発表をメインの仕事にしている人を「写真作家」「写真家」、クライアントの依頼で商業写真の撮影をしている人を「コマーシャルフォトグラファー」「商業カメラマン」「カメラマン」など呼んだりしている。

写真作家とは

写真作家(しゃしんさっか)は、写真を創作活動のための表現手段として主体的に用い、一貫したテーマ性を持った作品の発表を継続して行うことで一定の社会的評価を得ている写真家芸術家。撮影技術によって生計を立てる目的で一定レベルの写真制作を行い評価される職業写真家(フォトグラファーカメラマン))とは区別され、ゆえにフォトグラファーとしてすでに認知された者がより主体的な作品発表を行う場合の肩書きとして自称することがある。

wikibediaより

つまりアーティストなのである。だから写真作家に仕事を依頼する場合は、その作家さんの個性を求めている事になる。すなわち、機材云々ではない。

普段作品に使用している機材がLeicaならLeicaで撮って欲しいし、普段の作品をNikon FMで撮影しているならNikon FMで良い。

その写真作家さんの名前と作品が欲しいのだ。

次にカメラマンとは

カメラマンCameraman)は広義には写真映画テレビホームビデオなど様々なメディアにおいてプロ・アマ問わず撮影を行う人物。

wikipediaより

つまり商業で使用する写真を撮影する事を仕事としている人がプロのカメラマンなのである。つまりクライアントありきだという事を忘れてはいけない。

コメントではそこが明確に区別されて議論されていなかった。自分の撮りたい絵を追い求める「写真作家」と、求められた物を必ず撮影しなければならない「カメラマン」ここを混ぜて語ってはいけない。「カメラマン」には「クライアント」が必ずつくのだ。そしてクライアントはお金を払っているのだ。

プロのカメラマンにクライアントが求めている事

事前に広告代理店、もしくはディレクターと打ち合わせをした、こちらが求めている写真を提示されたクオリティで納期通りに仕上げる事。

これが仕事である。

ここを忘れてはならない。

クライアントがお金を稼げる写真を仕上げる事が仕事である。

機材について

クライアントには2種類いる。

  • カメラを知っている人
  • カメラに興味がない人

正直どちらも「機材」という観点から見るとタチが悪い。結論から言おう。

フラッグシップか、それに準ずるハイアマチュア機種を使えば良い

理由は簡単。「カメラを知ってるクライアント」は撮影の度にカメラマンのカメラを見ている。そしてカメラの種類もある程度知っている。だから普段見ないカメラだと、まずツッコまれる。直接カメラマンでなくても、代理店はまず聞かれている。

「なんでCanonの5D markⅣじゃないの?」「なんでNikonのD5じゃないの?」って。

次に「カメラに興味がないクライアント」の場合は「大きいカメラ」が良いカメラなのである。LeicaMで撮影を始めたら「おもちゃじゃなくて、カメラで写真を撮ってくれ」と言われた笑い話もあるくらいである。

次にレンズ。こちらも

純正大三元、「14mm-24mm F2.8」「24mm-70mm F2.8」「70mm-200mm F2.8」この3本を買うべきである。

理由は簡単。「カメラを知っているクライアント」はレンズを見れば安心するし、「カメラを知らないクライアント」はレンズが大きいから安心するのである。

とまあ、「ほんとかよ!」とツッコミを入れられそうな理由を書いたが、本当である。だけど他にも理由があるので説明しよう。

クライアントが払う金額について

次にここを理解いただきたい。

ピンからキリなので説明は難しいが、私が携わるアパレル関係の撮影の場合、1回の撮影1日で数百万かかる事はざらである。タレントが関わってくると数百万から一千万は軽く超える。SNS用の撮影でも最低数十万からの仕事になる。

これを前提に考えると、一眼の入門機種とキットレンズで現場に来たカメラマンは問題になるという事を理解いただけるだろう。

「俺はこれで最高の写真を取れるんだ!」と言われても信用できない。

理由は簡単、

  • 稼げないカメラマンではないかという不安
  • 良いカメラがあればもっと良い写真が取れるのではないかという不安
  • 自分の仕事を軽く見られてるのではないかという苛立ち

もちろん何回も仕事をしていて信頼があり、事前に趣旨を説明してくれたら別ではあるが、基本的にやめた方がいい。

初めて現場で会ったカメラマンが重要視する事は信用である。初対面の第一印象をお金で買えるならそれに越した事はない。借金してでも買い揃えるべきである。こだわりがあっても、それは2の次で考える事だと思う。だってお金をもらう仕事だから。

どうしても使いたい場合は、クライアントには説明しなければならないだろう。その時にNOが出た場合どうするのか。その他のクライアントが求めるカメラがなかったら、仕事は他のフォトグラファーに行ってしまう。だから絶対に大抵のクライアントが納得するカメラを初めに買い揃えなければならない。

これがカメラマンになりたい人が「良いカメラ」と「良いレンズ」を初めに買わなければいけない理由である。

長くなったので続きは次回。